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メカニック研究
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7.補足練習 7−1.
左手各指の独立性 [1] これは、左手各指の独立性を養うためにテナントの薦めている練習です。図1から4までのパターンを順番に押さえてゆき、4のパターンからは、また逆に一つずつ1まで戻って繰り返します。右手はどのように弾いても良いのですが、とりあえず単純な重音で弾弦すればよいでしょう。私は、これを毎日のウォームアップに使っています。第1ポジションから始めて、二回繰り返した後、半音あがって第二ポジションで同じことを行います。同様に第9ポジションまで順次上昇して、また第一ポジションまで戻ってきて、1セットとします。ローポジションではかなりのストレッチが、ハイポジションでは逆に指の上手な折りたたみが要求されます。人によって手の大きさは様々ですから、左手に無理のないポジションで行えば良いと思います。参考までに、音のサンプルもつけておきました。
7−2.
和音の中の1音の強調 [2] プランティングでは、プレスの量、つまり、プラントした後にどれだけ引き絞ってから弦をリリースするかで、音の大きさが決まります。プレスの量が大きければ大きな、小さければ小さな音が出ます。和音を弾く場合も、事情はまったく同じですが、この場合には、各指のプラントの量を、それぞれ個別に変化させて、響きをコントロールすることが出来ます。この方法は、和音の中に埋もれたメロディーラインを浮き立たせたい時などにとても有効です。例えば、pimaの4本で重音を弾くとして、mの音だけを大きくしたいなら、mの指だけ、そのプレスの量を大きくしておけばよいわけです。これは、言うのは簡単ですが、やってみると案外難しくて、けっこう練習が必要です。しかし、多声の音楽を弾く場合には、とても有用な技術ですので、暇を見て練習しておく価値はあると思います。
ここでは、カネンガイザーの薦める練習法を紹介します。まあ、コードは何でも良いのですが、例えば、第1ポジションでCGCEのCのコードを弾きます。ここで、pimaのプレスの量を1つずつ変化させて、それぞれの音を強調するコツをつかみます。慣れてきたら、譜例(上)に赤い音符で示したように、下から順に強調する音を移してゆきます。上手く出来れば、譜例(下)のように、アルペジオに聞こえると言うわけです。これは、やってみると、けっこう面白いので、単純な練習の割には、飽きずに出来ます。私も毎日ではありませんが、曲の中にこういう技術を使う個所が出てきた時には、補足練習に使って重宝しています。とてもお手本とはいえない出来ですが、音のサンプルもつけておきました。 7−3. X拍Y連の練習法 私は、はっきり言って、お世辞にもリズム感の良いほうではありません。というよりは、むしろ、リズム音痴のほうに属する人間です。いきなり、弱腰なコメントで始まってしまいましたが、そういうわけで、ここに紹介する方法は、どんなビートも「一度聴けば、体でわかる」という方には、なんとも、まどろっこしいやり方に思われることでしょう。いきなり「体でわかる」というのは、私にとっては、一種の超能力です。下の一文は、あくまで、私を含めた、そういう超能力を持たないくせに、難しいリズムの曲も弾きたいという、わがままな子羊を救済するための、窮余の策だとご理解ください。 さて、X拍Y連ですが、これは「X拍子とY拍子が同時進行するリズムパターン」のことです。これは、正式な音楽用語ではないと思いますが、学生時代の私の音楽友達は、皆、この言い方をしていました。さて、ギターを弾いていて最も頻繁に遭遇するのは、2拍3連でしょう。バスが2拍子を刻む上に、3拍子のメロディーが乗るといったケースです。英語では「プレイ・3ノーツ・アゲインスト・2ノーツ」などと言います。 これが、コツをつかむまでは、単純なようで難しいのです。教則本などを見ても、そういう箇所には、たいてい「リズムに気をつける」などというはなはだ不親切なコメントが付いているだけで、こういういい加減なことを書いただけで済ましている著者の良心が疑われます。気をつけただけで出来るなら苦労はしません。ここで、私が、いきなり「どのような組み合わせのX拍Y連も、とりあえず、できるようになる、簡単な方法がある」などというと、とんでもない大風呂敷を広げたように聞えるでしょうが、「とりあえず」ということであれば、そういう方法は実際に存在します。一番簡単な2拍3連を例に説明しましょう。 ステップ1 まず、メトロノームと紙と鉛筆を用意します。次に、XとYの最小公倍数を求めます。(小学校の算数でやりましたね)2拍3連の場合なら、6です。ここで、紙に一本の直線を引き、それを6等分します。この6等分した区間の一つを、1単位としましょう。3拍子の1拍は、2単位。2拍子の1拍は3単位です。これを図示すると、下のようになります。
図1 ステップ2 さて、それでは、いきなりですが、メトロノームに合わせて、右手で3拍子を、左手で2拍子を叩いてみましょう。叩くのは、自分の膝でも、机でも何でもかまいません。上で作った紙を見ながら行います。わかりやすいように、図3のように「右、左」を書いておくと良いかもしれません。
図2 メトロノームは、3拍子と2拍子に共通した「単位」を刻みます。全体として6拍子のパターンを繰り返すわけです。テンポは自分のやりやすい適当な速さにセットしてください。左右を同時に叩いてスタートして、その後、右、左、右と叩いた後、元に戻って左右を同時な叩くことになりますね。ゆっくりなら、比較的簡単に叩けると思います。 ステップ3 慣れてきたら、だんだんメトロノームのテンポを上げてゆきます。それと同時に、自分の手の叩きの音を良く聞いてください。ゆっくりだとよくわからないかもしれませんが、テンポが上がってくると、左右あわせて譜例1のように「タン・タ・カ・タン」と聞えるはずです。「カ」が3ビートの2拍目のウラ(2ビートの2拍目のアタマ)になっています。要するに、「タン・タ・カ・タン」と聞えれば、きっちり2拍3連が出来ているということです。簡単でしょう?
譜例1 ステップ4 では、次にこれをギターで弾いてみます。ステップ3と同じように、メトロノームは、6ビートの単位を刻みます。下の譜例2を弾いてみてください。imaが右手、pが左手だと思えば、ステップ3でやったこととまったく同じです。
譜例2 逆のパターン、譜例3も弾いて見ましょう。
譜例3 ステップ5 これが最終段階です。ステップ4の譜例を、今度は、メトロノームで2ビート、あるいは、3ビートを刻みながら弾きます。3ビートに2ビートを重ねるほうが簡単でしょう。逆は少し難しいですけれど、混乱したらステップ3・4に戻って、「タン・タ・カ・タン」でも何でも良いですから、自分自身の「2拍3連が出来ている感覚」を確認してください。 以上が、私がいろいろな情報を総合して、体験的に作り上げた2拍3連の習得法です。「体でわかる」能力のある人には、ややこしいことを考えなくとも、この「タン・タ・カ・タン」が、すぐに出来てしまうわけですが、私は、長い間、ぜんぜん出来なくて、とても苦労しました。最小公倍数の6を考えるのはとても大事なことだと思います。要するに、このことは、どんな複雑な複合拍子でも、その下には、より細かな共通のビートが刻まれている、ということを示唆しています。要するに、リズム感の良い人は、表に現れているビートよりも、ずっと細かなビートを、意識的にせよ、無意識的にせよ、頭の中で刻んでいるということでしょう。こういうリズム感というのは、何もラテン系のノリのよい音楽だけに必要なのではなくて、ゆったりとした曲を弾く時もとても大切だと感じます。例えば、バッハのゴールドベルクのアリア。弾いてみればわかりますが、あのゆったりした曲を弾くために、1拍をどれだけ細かく刻んでおかねばならないことか。もちろん、それは、表面的にはメロディーに細かな装飾があるせいなのですが、単純な音型でも本質的には、同じことでしょう。 さて、2拍3連以外のX拍Y連も基本的には、最小公倍数を考える上のやり方で、処理することが出来ます。どんなX拍Y連も、ステップ1−3の方法で、自分なりの「正確に出来たときの感覚」を確立するのがポイントです。と、偉そうに書いていますが、実は、私は4拍3連までしか練習したことはありません。参考までに、4拍3連に取り組むための図を描いておきました。
図3 この場合、きちんと出来ると、全体として下のような「ターンタ・タン・タン・タターン」と言うリズム、譜例4が聞えてくるはずですね。うん、聞えるはずです・・
譜例4 ところで、蛇足ですが、この考察からわかるように、XとYのコンビネーションがややこしくなってくると、必然的にその最小公倍数は大きくなります。例えば、7拍5連では、その最小公倍数は35。11拍12連!では、132。すごいビート分解能が必要です。プロのパーカッショニストなどは、ステップ1−3で出来てくる複合拍子のパターンの部分構造を、すでに体得している手持ちのパターンで、再度、置き換えることで全体を単純化しているのではないかと思います。例えば、4拍3連の例では、複雑な全体構造を、誰でも出来る「ターンタ」・「タターン」という付点音型とその裏返し、および「タン・タン」という2ビートの組み合わせに、単純化しているわけです。各部分のリズムパターンは、プログラミングで言うサブルーチンのようなものでしょう。
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