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メカニック研究
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1.右手の技術3 (プランティング) プランティングの技術は、日本語では「弦の上に指を準備しておく奏法」などと、やたらと長い名前で呼ばれています。プランティングという考え方そのものは決して新しいものではないのですが、その基本的考え方やその有用性をはっきりと説明した文献は少ないようです。そのため、「指を弦上に準備したときに音が途切れてしまうので、好ましくない奏法だ」といった誤解をしている人も少なからず見かけます。ここでは、主にスコット・テナントとビル・カネンガイザーの考え方
[1,
2, 3] に基づいてプランティングの技術について説明します。念のために書いておきますが、プランティングは決してテナントとカネンガイザーの専売特許ではありません。多くのギタリストが、いろいろな言い方で、同じような弾き方を提案していますので、とても網羅的なリストを作ることは出来ませんが、珍しいところでは、ラルフ・タウナーもこの技術を使うギタリストの一人です。[13] プランティングのねらいは、弾弦に際しての指の動きを少なくすることで、ヴォリュームと音色のコントロールのレベルを上げることにあります。弦を叩いてしまっては、発音のコントロールは出来ない、というのが多くのトップギタリストの考え方です。「弦を捕らえてから、弾く」と言う人もいますね。プランティングは決してスピードアップのための技術ではありません。スピードは、コントロールの向上にしたがって自然について来るものです。プランティングでは、弾弦のアクションをプラント(弦上に指を置き)、プレス(弦を押し込み)、リリース(解放する)の三つに分解します。まず、単音を発音する際のプランティングの要領を見てみましょう。
プラント(アルアイレ) プレス (アルアイレ)
リリース (アルアイレ) 図は、人差し指で三弦を弾く場合の例です。まずプラントで指先を弦の上に用意します。この時は、指先は弦に軽く触るだけです。アルアイレでは、このとき指の根元の関節(MP関節、ギタリストのための解剖学章を参照のこと)が、弾く弦のちょうど真上に位置するようなポジションが適当です。次に、弦を表面板に対して垂直方向に押し込みます。この時の押し込みの量の大小で、音量が決まります。深く押し込んでリリースすればフォルテになり、浅ければピアノになります。フォルテで弾くからといって、強くはじくわけではないのです。そして最後に、このプレスの状態から、主にMP関節を動かすことで、弦をリリースします。ですから、弾弦の最終段階は多少の力は必要ですが、むしろ脱力のステップなのです。
プラント (アポヤンド) リリース(アポヤンド)
脱力 アポヤンドの場合は、右手の位置が低音弦側に、弦一本か二本分移動しますが、基本的な操作は同じです。ただ、リリースした後、指は隣の弦にぶつかった状態になりますので、これを脱力でもとに戻すステップが加わります。(上の図を参照、プレスは省略)二本の指で交互弾弦を行う場合には、(例えば、人差し指と中指)人差し指が弦をリリースすると同時に、中指がプラントします。そして、中指がリリースすれば、直ぐにまた人差し指がプラントするわけです。もちろん、こういう弾き方をすれば、出てくる音はスタッカートになります。しかし、それはそれでよいのです。
mの弾弦と同時にiのプラント iの弾弦と同時にmのプラント これはあくまで、指のコントロールを向上させるための練習ですから、実際の楽曲では、特に必要のない限り、このような弾き方はしません。二本指の交互弾弦の場合、テンポが上がってくれば、ある速さで明確なプランティングは不可能になり、プラント、プレス、リリースの三つのステップは事実上一つのステップに収斂してきます。しかし、スローテンポでプランティングの練習を繰り返した指は、スピードが上がっても暴れません。ハイスピードでも暴走しない、コントロールの効いた指の動きを習得すること、これがプランティングのねらいです。
譜例1. 具体的には、スピード練習はスピードバーストという方法で練習します。譜例1のように、例えば、三弦の解放弦をimでゆっくり交互に弾弦しながら、その間にごく短い間だけ早く弾く部分(バースト)をはさんでゆくのです。上に書いたようにプランティングを行えば、すべての音はスタッカートになります。これをメトロノームを使って、十分に余裕のある速さから、徐々にスピードアップして練習してゆきます。「はさみうち」という練習を知っている方なら、このプランティングによるスピード練習が、「はさみうち」の動きにそっくりだということに気づかれたかも知れません。弦を挟むかどうかが違うだけで、指の「戻り」を強調した運動であることは同じです。このように、分析的に見てゆくと、一見異なった練習の背後に、共通の運動要素があることが良く分かります。 最後に、プランティングを使ったアルペジオの練習方法を解説します。
譜例2.
上の図を見ていただければ、ほとんど説明の必要はないでしょう。譜例2のアルペジオを弾くためには、まず、右手pimaを図1のようにプラントします。青丸はプラントした指、赤丸は弾弦した指を示しています。図2-5では、1、2、3、5弦上に準備した指を順番に弾いてゆき、最後の1弦をaで弾くと同時にpをプラントします。(図5)次に、pで再びベースのCの音を弾き、同時にimaをプラントします。(図6)以下、図2−6の繰り返しです。
譜例3.
譜例3については、図を示すだけにしますが、やり方は全く同様です。
譜例4.
譜例4は、譜例2と3の組み合わせです。容易に類推できると思いますが、念のために図を示しておきます。図1−6の繰り返しになります。 交互弾弦の場合と同じで、ここでも速く弾く必要は全くありません。指にプランティングする癖をつけるのが、第一の目的です。スピードが上がってくれば、自然にはっきりとしたプランティングは不可能になり、普通のアルペジオと変わらなくなります。しかし、プランティングの練習をつんでおけば、高速でも指は無意識にプランティングしようとして、弾くべき弦にすばやく戻って来るようになる、というのがテナントやカネンガイザーの主張
[1,
2, 3]です。私は、譜例2の図1−5の動きが、右手各指の独立性のトレーニングにとても有効だと思います。 |
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