食道ガン資料

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食道ガンのステージ分類

食道ガンのステージ分類にはいくつかの基準があって、混乱することもありますので、ここにまとめておきました。

IUAC (International Union Against Cancer) による分類

原発病巣

TX 評価できない
T0 原発病巣を認めない
Tin ガンが食道粘膜上層にとどまる
T1 ガンが食道粘膜下層に達している
T2 ガンが食道筋層に達している
T3 ガンが食道外壁に達している
T4 ガンが隣接した臓器に浸潤している
周辺リンパ節
NX 評価できない
N0 周辺リンパ節に転移を認めない
N1 周辺リンパ節に転移を認める
遠隔転移
MX 評価できない
M0 遠隔転移を認めない
M1 遠隔転移を認める

慣用分類・日本食道疾患研究会の「食道癌取扱い規約」による分類

0期 ガンが食道粘膜にとどまっていて、浸潤、転移を認めない
I期 ガンは食道粘膜にとどまっているが、近傍のリンパ節に転移がある、あるいは、ガンが粘膜下層に浸潤しているが、リンパ転移、遠隔転移はないもの
II期 ガンが筋層を超えて、わずかに食道外壁に出ている、あるいは、近傍のリンパ節に転移があっても、他臓器、胸膜、腹膜などに転移がないもの
III期 ガンが食道外壁を明らかに越えて外へ出ていると判断されたとき、あるいは食道からやや離れたリンパ節にも転移があるが、多臓器への転移の認められない場合
IV期 ガンが食道周辺の臓器に浸潤しているか、ガンから遠く離れたリンパ節、臓器に転移のあるとき

対照表

慣用分類

TNM分類
原発病巣 (T) 周辺リンパ転移 (N) 遠隔転移 (M)
0 Tis N0 M0
I T1 N0 M0
IIA T2 N0 M0
T3 N0 M0
IIB T1 N0 M0
T2 N1 M0
III T3 N1 M0
T4 N1 M0
IV すべての すべてのN M1

Squamous cell carcinoma of the esophagus: a review and update, M J Edwards et al, Surgical Oncology vol.6, No.4, pp. 193-200, 1997, による

 

 

食道ガン手術後の後遺症/私の場合

1.食事の問題

食道上部の病巣の摘出に伴って声帯を失った場合などを除いては、食事にまつわる不都合が食道ガン手術後のもっとも大きな後遺症でしょう。私の場合を参考例としてご紹介したいと思います。これは二回目の手術から三年後、2001年12月の状態ですが、術後ほぼ一年で現在の状態まで回復し、その後大きな変化はありません。まず、問題点を列挙してみましょう。

1.少量の食事ですぐに満腹になるため、十分な量の食事が出来ない。食べられる量は、術前の  半分程度

2.一回の食事の量が多すぎると、胸に吊り上げられた胃管が膨らみすぎて肺や心臓を圧迫して苦しくなる

3.食後30分くらいすると、腹部が重苦しく、さらに全身がだるくなり、これは1時間から二時間程度続く

4.食事の量、種類、体調によっては、食後すぐに下痢をする。下痢に伴う腹痛は、普通1時間程度で軽快する

5.横になると(特に食後すぐ)胃の内容物が口の中へ逆流するため、休憩、就寝の際はやや背を持ち上げた姿勢を維持しなければならない

6.時折、はっきりしたダンピング症状が出る(軽い低血糖発作)

さらにもう少し詳しく説明しましょう。

1.について: 私はもともと大食家でしたので、元の半分といっても、小食の普通の人が食べる量くらいは一度に食べることが出来ます。普通の人と同じくらいの量を食べた場合、あとで説明する食後のショック症状が激しいので、必ず食後は横になって休む必要があります。ですから、外食をすることは困難です。仕事や旅行などで、やむをえない場合は、消化のよいものを半人前程度、ゆっくり食べるようにします。案外大丈夫なのが、居酒屋で一杯というやつ。この場合、自然と酒の肴を少しずつ、ゆっくり食べることになりますので、私には好都合です。

2.について: 食後の胸部の圧迫感は、手術直後に比べて、徐々に軽くなってきました。ただ、今でも油断をして食べ過ぎると、食後に胸骨の裏の痛むことがあります。

3.について: 健康な人の半人前以上の量の食事をした場合、食後しばらくすると腹部に鉛を飲み込んだような重苦しさを感じます。そして、全身がだるく、頭がボーッとしてきます。我慢が出来ないほどの不快感ではありませんが、仕事にはなりません。読書も出来ません。テレビを見るのもつらいことが多いのです。このときに、無理をして動くと必ず下痢をします。この不快感は、横になって休んでいると通常1-2時間で軽快しますが、完全に空腹な状態になるまでは、本当に楽にはなりません。ですから、私にとってはおなかの空いているときが1番頭のすっきりして仕事の能率のあがるときなのです。

4.について: 食後には常に突然の下痢のリスクがあります。特に食べられないものというのはありませんが、脂っこいものは要注意です。特に揚げ油が古い場合は特に危ないようです。しかし、食べる量とスピードに注意すれば、とんかつやうなぎなども大丈夫です。ただ、疲労の溜まっているときは何を食べてもだめです。

5.について: 逆流を防ぐには、可動式のベッドを使うか、クッションを工夫するなどして、寝るときの姿勢を調整してやる必要があります。私は、いろいろなサイズの枕を組み合わせて、背の角度が30度程度になるようにしています。

6.について: 私の場合、食後にダンピングを起こすことは稀です。むしろ、空腹時に血糖値が下がりすぎてしまうことが多いようです。たいていの場合、まず手に力が入らなくなってくるので 「おかしいな」 と気づきます。しばらくほっておくと、次第に全身から冷や汗が出て、動けなくなってしまいます。意識がなくなるようなことはありません。発作に気づいたら、チョコレートなどを食べて、すぐに糖分を補給するようにすれば、特に不都合はありません。 

このような後遺症の起こってくる原因については、十分に納得のゆく説明はないのですが、基本的には 「胃が本来持っていた、食物を少しずつ腸に送り出す」 という機能が失われたためだと考えられます。食後、一度に大量の食べ物が未消化のまま腸へ送り出されると、その結果として:

1.大量の膵液が一度に分泌されて、血糖値が必要以上に下がってしまう(ダンピング)

2.腸管表面の浸透圧が高くなり、血液成分のバランスがくずれる

3.術後の癒着などのため運動性の低下している腸管にさらに負担がかかる

ということのようです。基本的には、少量の食べ物をゆっくりと食べれば、食後も横になる必要はありませんが、その場合、食事の回数を増やさねばなりません。また、食事のための時間も長くかかります。普通に仕事をしていると、なかなかそういうわけにもゆきませんので、工夫が必要です。

下に、、私の食事のスケジュールを書いておきました。朝、出勤前に食事をとらないのは、食後の回復に時間がかかりすぎるためです。そのかわり、仕事をしながら、11時くらいまでに、少しずついろいろなものを食べて朝食のかわりにしています。今の職場は残業もほとんどなく、オフィスも個室なので助かっています。出張時は、やはりあまり食べられません。長く続くと体重を落としてしまいます。

食事のスケジュール (理想的に食べられた場合)

出勤前 ホットミルクまたは、カフェオレ 50
8:30 (始業) パン(クロワッサンなど)+バナナ+ミルクコーヒー 200
10:30 固形カロリーメイトのような栄養補助食品+バナナ+ミルクコーヒー 200
12:30 サンドイッチ+ミルクまたはスープ 400
15:30 固形カロリーメイトのような栄養補助食品+バナナ+ミルクコーヒー 200
17:30 (終業)    
18:30−19:30 夕食 (通常食) 600
22:00− 軽く一杯(ワインまたはビール+チーズなど) 200
    摂取カロリー 合計1850 kcal

上の表は、理想的に食べられた場合のメニューです。あくまで、目標ということです。実際の典型的な一日の摂取カロリーは、1400−1600kcal 程度ではないかと思います。